2012 Autumn

20121121
スウィングするには冬の空気は乾きすぎていていけない。指と指が滑ってしまう湿度、紙が傷まず上等な顔を保っていられる温度。

20121112
それにしても、こころを言葉で語ることの難しさよ。それ自体は決して語り得なくて、こころの働きを記述することでしか私は私のこころのことすらわからない気がしている昨今。

それこそ、「イヌ」という言葉だけが抜け落ちた状態で「イヌ」を語ることのような。動物で、4本足で、色んな種類がいて、毛が生えてて…みたいな。極端すぎる話かもしれませんが。

だからこそ、精神分析家の仕事はとても面白い。なんとなくぷわぷわ浮かぶ対話の中からヒュッと本質的なものが飛び出してくる感覚はとてもわかる。そしてそれは"感覚"としか呼べないようなものなので、大変説明するのに困るのもとてもわかる。

20121111
「一生の内に読んだ本の総重量が魂の重さ」

20121109
不思議な縁とでも言えばいいのか、波が打ち寄せる場所は、いつだって似通ったところなのだ。心を注ぐ理由なんて、「好きな人が好きだったから」だけで十分だ。

20121107
それこそ、水底から太陽を見てるみたい。屈折した光が影のように形作るなにか。実際影なんだろうなぁ。

20121104
たまにダーガーのことを考える。永遠に損なわれた閉じた王国と唯一の語らない証言者だった彼のことを思うとき、「そのことを思う」というこの行為こそがあの世界に介入した暴力だったことを思う。

悲しい水たまりに嬉しいさざ波、開かれたこころにぷかぷか広がっていく。ひび割れた光のダンスは、私の前で一斉にまばたきする百万の眼。宇宙の端から呼ぶ声がする。

20121103
1時間が限度の脆弱な集中力に、くっつかない言葉をたくさん放り込んでかき回して分離を試みる。脳の皺の隙間に入ってぶるぶる震える小さい蟻を考える。マリアナ海溝より深く深く巣を作ることを考える。

20121029
いつもボヤけて見えないものも、雲ひとつない満月の夜には見えるようになるんだよ。両手のゴーグル越しに見る世界は、普段より30度くらいずれている。

20121028
悲しみは残酷、毎日を切り刻んでしまう。悲しいことはきらい。抗いようがない。さらされることでしか受容できない。辛さや悲しみがどうか薄らいで、安らぎが少しでもスカスカになった心を埋めるように祈ることしかできない。

だから神様、どうか私たちをその手に握っていてください、と思う。願う。

20121019
耳が全部隠れるのなんて大学1年以来じゃないかすら。髪が耳にかかるあいだは、きっと「魔法使いの耳をしている」のだと信じたい。

20121015
空中ブランコ軽々跳べるくらい運動神経良くなりたい。華やかに見える道化師の黒い見世物小屋へようこそ!

ブランコも玉乗りもできたら面白そうだけど、やらなくてもきっといいのだろ。私サーカスの子じゃないし、別にできなくても困るわけではない。ババールもたぶん玉乗りはしなかったろうし。

終わり。たぶん私空中ブランコ跳べないわ、なぜなら跳びたくないから。とゆー話をした魔神。待て次週!

20101002
与えるものがなくなったとき、それこそ悲しくなるでしょう。だってもう気持ちを託す術がない。そそがれても与えられない、何もできない。きっとそんなことはないのだろうけど、「与える」主体は悲しいでしょう。与えることがすべてなのだから。

行為以前はない、ということ?好意は行為、/koui/、はてさて。

20120930
ぐんぐん進む厚い雲の上はきっと絨毯で、風を産み出すパレートがご機嫌にぴーひゃらやっているのでしょう。

こんな妄想ばかり膨らましてしまうからか、「でも本当はサンタさんはいない」、というような言葉をどうもしっくり飲み込めない。デロリアン型のタイムマシンはあるし、火星にはたんぽぽが待ってるし、半時間先を見てるカメもそこらにいる。どうして"ない"と言えるんだろう。悲しくなってしまう。

20120928
大学一年からの友達の、恋人との話を聞いていたらなんか色々うるうるしてしまった。大事なものを語る言葉は、どんなものであれやわらかいひだのような場所を打つのだと。もしくはしみこんでいくのだと。

20120926
「そんなに良く見ちゃだめよ、体より目のが大きくなっちゃうから。」「そんなに良く寝ちゃだめよ、脳の内側が膨張して頭蓋骨に収まらなくなってしまうから。」

20120922
誠実であるためにもやさしくあるためにも勇気がいるということ。べちゃべちゃに泣いてしまった。ありがとう。プレパラートは割れてしまったけれど、カケラはキラキラに光っている。

20120921
あの鳥よりも、短距離選手よりも、銃弾よりも、遠くで響く雷鳴よりも、宇宙から届く光よりも、もっともっと速く速く思いが走るなら、一方通行に逆らってあの時のあの人に届けられるのかしら。

乱反射してうるさい夜に、この世界に真っ赤なジャムを塗って食べようとする夜に。

20120917
いらないことしか言えないわ。言えないことの周りを言えることで埋め尽くしていったら、残った白抜きマルが言えないことになるかしら。夜のバンドのにおいがする夜。

20120916
宇宙船のウより速く駆け抜けて、あれのしっぽを捕まえねば。宇宙服からこぼれ落ちた月の塵が魔法の粉、ほら光はいつだって見えているでしょう。

20120908
「哲学はとてもタフ、ずっとぐるぐる考え続けて、考え続けた先に考え続けることがある。」友達に言われた言葉が支えになっている。フランス訛りの下手な英語で詰まりながら話したことを、昨日のように思い出す。

20120904
ぼたぼた垂れるカスタード。もう思い出せないことのが多いのにこだわっている。こないだ連絡したのも、ずっとあのタイミングであの場所でメールしようと決めていたから。私が大事にしてきた詩の故郷、教えてくれた詩人の生まれた本屋。

モーターを強に叩き込んだミキサーを、突然胸に突っ込まれたよう。シュークリームからはみ出したカスタードクリームみたい。でろでろ気持ちが流れ出る。